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【スマレジ】スマレジアプリならではの事業リスクとは

前回に続いて、スマレジ社にスポットをあてていきます。
財務基盤などを中心に見ていきましょう。

なお、会社名であるスマレジと、クラウド型POSレジシステムであるスマレジが、同じ名称なので、会社名のときは「スマレジ社」、レジシステムのときは「スマレジ」とします。

当記事で引用する決算関連資料
21年4月 有価証券報告書

4月決算(決算期間:5月1日~翌年4月30日)の会社です。
当記事で使用する金額は、百万円未満を切捨てています。

スマレジアプリならではの事業リスク

スマレジ社は、契約店舗数を毎年増やしており、着実な事業成長を遂げてきている会社です。本格的なコロナ禍であった21年4月期においても、対前年で増収増益を果たしています。

そんなスマレジ社における特有の事業リスクがあります。

スマレジ社と契約した事業者は、スマレジのシステムを利用する場合、iOS端末であるiPadやiPhoneを利用しないといけません。Android端末は使えません。

iOS端末しか使えないところに、スマレジ社の事業リスクがあります。

21年4月期 有価証券報告書 p.15

日本はiPhone人気もあり、iOS端末のシェアが多いです。
一方で海外は、iOSよりAndroidのシェアの方が大きくなっています。

今後は環境変化に伴い、iOSのシェアが落ちてくる可能性があります。
iOS端末しか持っていない事業者の加入が今より減ってしまうことが考えられ、スマレジ社の売上に影響が出てきてしまいます。

またiOSを展開するApple社の事業戦略の転換や動向によっては、スマレジ社の事業に影響を及ぼす旨をリスクとして認識しています。

安定した財務基盤

まずはBS(貸借対照表)を確認していきましょう。

21年4月末は、すべての資産合計である総資産4,499百万円に対して、資本金や会社のこれまでの儲けの累積である、純資産は3,676百万円となっています。

純資産を総資産で除した自己資本比率は、なんと81.7%にもなり、非常に安定した財務基盤となっています。

成長企業は初期投資がかさむため、多額の販売促進費や広告費がかかってしまい、当初は財務基盤が不安定なことが多いです。スマレジ社は利益も順調にあげてきており、ここ最近はかなり安定したものになっていますね。

 

負債(総資産から純資産を差し引いたもの)の内容について、BSを見てみましょう。

左側の金額が20年4月期、右側が21年4月であり、千円単位の表示になっています。(以下BSは同様)

21年4月期 有価証券報告書 p.53

21年4月期の金額が大きい勘定科目としては、未払法人税等181,426百万円、前受金192,368百万円あたりでしょうか。

未払法人税等は、法人が獲得した利益に対してかかってくる税金について、支払までの間に計上している未払であり、利益をあげていれば当然計上されてくるものです。

前受金はサービス提供前に、事前にお客様から入金されているものですね。サービスを提供した時に売上計上されるものであり、将来において負債から売上に振り替えられる勘定科目です。

注目すべきは、負債の勘定科目の全体的に見ても、特に借入や社債など、外部に返済義務を負っている負債科目は出てこないことですね。

自己資本比率81.7%ですから、必要な資金は自社で準備することができます。
借入をしなくても営業上は問題ないということです。

借入をしていれば、利息の支払いなどの費用も出てきますから、しっかりした財務基盤があるということは、会社にとって非常にメリットです。

BSの純資産や負債を見てきましたが、資産の内訳も確認していきましょう。
まずは流動資産です。

21年4月期 有価証券報告書 p.52


パッと見て思うのは、現金及び預金が多いことです。
21年4月期は、3,611百万円ありますね。

総資産は4,499百万円なので、総資産のうち約80%は現金及び預金ということになるというわけです。自己資本比率が高いという話がありましたが、現金がここまで多ければ、財務基盤の観点から申し分ないという感じです。

ここまで現金及び預金の資産比率が高い会社はありません。
キャッシュリッチな状態で、さまざまな事業に資金を投下できる可能性を持っており、今後の選択肢が多いことが魅力的です。

固定資産の内容とは

固定資産に目を移していきます。

21年4月期 有価証券報告書 p.52


21年4月期は建物143百万円、ソフトウェア142百万円、敷金169百万円が、相対的に金額が大きくなっています。

建物は、大阪本社や東京オフィスなど、営業拠点となるオフィスの建物のようです。

ソフトウェアは、スマレジのクラウドサービスなどを行ううえでの基幹システムに関するものでしょう。スマレジの機能維持には必要不可欠な資産です。

敷金はオフィス借入に伴い支出したものでしょう。

いずれの資産を見ても100百万円(1億円)を少し超えるレベルのものですね。
スマレジ社の総資産の規模から考えると、大きな資産とは言えないレベルです。

売上や利益を獲得するにあたり固定資産を持つことは非常に重要です。ただ「固定」資産というように、いったん資産計上されたものは、簡単に現金化することが難しいです。

この点、スマレジ社の固定資産の規模は、かなり抑えられているかと思われます。

良い評判を保つために

BSを見て、固定資産があまり無いことを確認してきましたね。

主にクラウドサービスの基幹システムに関するソフトウェア勘定も、金額としてそんなに大きくありませんでした。

お客様の新規獲得を積極的に行うことで、毎年大きく成長しているスマレジ社。
今後売上を拡大させていく中で、システムなどに対する投資はどのようになっていくのでしょうか。

21年4月期 有価証券報告書 p.25

スマレジ4.0のクラウドサービスに関するソフトウェア開発の新設の記載がありました。
事業者のニーズに応えて、良い評判を保っていくために、継続的な開発は欠かせません。

投資する総額は451百万円としています。

21年4月期のソフトウェアは142百万円でしたから、金額としては大きいですね。
ただ総資産が4,499百万円で他に大きな固定資産を持たないスマレジ社として、資産全体から見ると大きすぎる投資とは言えません。

21年4月期 有価証券報告書 p.18

素晴らしいシステムの開発やアップデートをしていくには、優秀な技術者が必要です。
スマレジ社の重要な課題として認識されています。

国内の人口は減っていきますし、どこの会社も優秀な技術者を欲しいので、人材確保が一層厳しくなっていくものと予想されます。

海外でのソフトウェア開発にも目を向けて、お客様のニーズを満たすシステム作りは、会社として生命線になるところであり、非常に重要な課題であることが分かります。