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【プラザクリエイト】プリント(イメージング)事業からモバイル事業へのシフト

昨年末(12月28日)にプラザクリエイトで、22年3月期(21年4月1日~22年3月31日)の業績について修正するとの発表がありました。
2022年3月期 連結業績予想の修正に関するお知らせ

まもなく年度末(3月末)の決算を迎えますね。
内容を確認していきましょう。

当記事で使用する決算書(有価証券報告書)の抜粋は、直近で公表されている21年3月期決算(2020年4月1日~2021年3月31日、3月決算)を中心に見ていきます。会社方針に従い、百万円未満は切捨てています。

事業内容

プラザクリエイトは、主要な事業として「プリント事業」「モバイル事業」の2つを行っています。

「プリント事業」は、フォトショップのフランチャイズの展開及びフォトショップの経営並びにWebサイトを運営し、デジタルプリントサービス及び写真関連商材等の販売を営んでいます。

「モバイル事業」は、携帯ショップを運営し、携帯端末等の販売を営んでいます。

21年3月期 有価証券報告書 p.67

街中で見かけるパレットプラザなどの店舗運営をしていますね。
日常生活するうえで身近なお店なので、ご利用される方も多いかと思います。

なお「プリント事業」については、事業内容の適正表示のため、22年3月期より「イメージング事業」へ名称変更がなされています。

当記事においては、主に21年3月期以前の業績を見ていることから、「プリント事業」と記載することとしています。

22年3月期 1Q四半期報告書 p.2

連結業績

連結業績を見ていきます。
過去4期分の業績を並べてみましたが、いかがでしょうか。

■21年3月期:売上20,674百万円、営業利益305百万円、親会社利益732百万円
■20年3月期:売上23,054百万円、営業利益268百万円、親会社利益125百万円
■19年3月期:売上23,731百万円、営業利益237百万円、親会社利益78百万円
■18年3月期:売上22,172百万円、営業利益61百万円、親会社利益▲58百万円

21年3月期は新型コロナウイルスの影響もあって、売上20,674百万円と前年から減少しているものの、本業の儲けである営業利益や、連結決算における最終的な利益を示す親会社利益について、増益となっています。

営業利益を売上で除した売上高営業利益率については、記載した4期分は、おおよそ1%程度でしょうか。増益傾向ではあるものの、なんとか利益を出しているという印象です。

戦略的に業態の見直しを進めており、採算改善を目指しているようです。

モバイル事業へのシフト

プリント事業とモバイル事業の2つの事業が中心となっていましたね。
それぞれどのような業績になっているのでしょうか。

セグメント別の業績を見てみましょう。
下で記載しているセグメント利益は、営業利益とほぼ同じような意味合いと考えていただけたらと。

プリント事業

■21年3月期:売上5,091百万円、セグメント利益(≒営業利益)▲682百万円
■20年3月期:売上6,800百万円、セグメント利益▲385百万円
■19年3月期:売上7,709百万円、セグメント利益▲354百万円
■18年3月期:売上8,268百万円、セグメント利益▲266百万円

モバイル事業

■21年3月期:売上15,583百万円、セグメント利益1,018百万円
■20年3月期:売上16,254百万円、セグメント利益671百万円
■19年3月期:売上16,022百万円、セグメント利益627百万円
■18年3月期:売上13,907百万円、セグメント利益333百万円

売上を見ていくと、プリント事業は縮小傾向、モバイル事業は拡大傾向(21年3月期はコロナウイルスの影響あったため例外)となっていますね。

市場環境の変化を踏まえて、プリント事業とモバイル事業で進めている方針は明確に異なっています。

これまで事業の中心的存在であったプリント事業は、収支構造の改善を図っています。

具体的には、直営店運営事業から卸売り事業(フランチャイズ方式)への業態転換を行っているようです。
直営店はメリットもありますが、賃借料や人件費など固定費の負担が大きいと思われます。

フランチャイズの割合が20年3月期の59%から、21年3月期が76%と大幅に増加しており、スピード感をもって構造変化が進んでいることが分かります。

21年3月期 有価証券報告書 p.9

一方、モバイル事業は店舗数を増やして拡大路線を進めています。
それぞれの事業の戦略は異なっていますね。

先ほど確認した両事業を合計した、連結全体における売上高営業利益率は1%程度でプラスでした。

ただプリント事業とモバイル事業を分けてみると、プリント事業はマイナス(営業損失)、モバイル事業はプラス(営業利益)になっています。

プリント事業で出したマイナスを、モバイル事業でカバーしている状況が見えてきますね。

コロナ禍である21年3月期で見ても、モバイル事業の営業利益率は6.5%(セグメント利益1,018百万円÷売上15,583百万円)ですから、モバイル事業を拡大させていきたい思いが分かるかと思います。

21年3月期 有価証券報告書 p.8,9


モバイル事業の新規出店を増やしていて、人員についても新規雇用やプリント事業からの転換が、積極的に進められています。

21年3月期 有価証券報告書 p.6

22年3月期のモバイル事業の行方

さて冒頭に記載したとおり、22年3月期の業績予想について修正の発表がありました。

当期の業績予想については、前期末の決算発表時に公表をすることが多く、プラザクリエイトについても同様でした。

当初予想に対する修正後の予想が、以下のとおりです。

21年12月 業績修正資料


モバイル事業については、積極的な新規出店により、22年3月期に関して12月までに15店舗増えています。この影響で売上は従来予想の20,000百万円から21,000百万円へ上回る修正となっています。

一方、新規出店については店舗運営を始めるための初期コストや、店舗運営開始後のランニングコストがかかることなどから、利益についてが減少すると見込んでいますね。

減益することについては将来的に売上が伸びていき、初期コストを回収できると思われるので、仕方ない面はあると思います。

通信業界の市場環境の変化もあることから、今後さらなるモバイル事業の拡大がどうなっていくか、気になるところです。

21年12月 業績修正資料